【ドクター】「スカイ、どうだい、調子は?」
【スカイ】 「うん。相変わらず」

空想世界では、相変わらず肩こりの少年【スカイ】が肩を揉まれている。

【ドクター】「そうか〜。愛を込めて方も魅してるのになぁ」
【スカイ】 「愛はいらないんじゃないの?」
【ドクター】「たわけ者!治療に必要なのは、愛と知識と技術だ」

そこへ、いつもの通り壁際でキーボードを叩いていた【コンピューターマン】が声をかける。

【CPマン】「僕の腱鞘炎も、ドクターコリトールの愛で治るのか?」
【ドクター】「もちろんだよ、ハニー!」
【CPマン】「そうか」
【スカイ】 「なんか気持ち悪い!」
他愛もない、いつもの会話。
しかし今日は勝手が違った。

「スカイのために、新しい技を仕入れてきたんだ」
「新しい、技!?」
「コリを取る、究極の秘技だ!」

そして、【ドクターコリトール】の技が炸裂する。

「ワーーーーチャアアアオオウ!!
 アーーーーーーーータタタタタタタタタタタ!!!!!」
「へぶしへぶしゃひでむへぶほはべしーー!!」


飛び散る汗!唸る親指!背後に走る謎の伝承者たち!

「お前はもう、死んでいる」
「僕は生きてるよ!!」
「肩こり菌が死んだんだ」
「ユリア、マイラーーーーーヴ!!!」
「ユリアのファンか!!気が合うな」
「おおおおおー!コンピューターマンもか!!」

意外な趣味の合致に沸く二人。

「僕も、キーボード上でなら、かなりのケンシロウになれる」
「俺も、ツボ押しケンシロウにならなれるだろ!?」

そこへ、突然【スカイ】の声が飛ぶ。

「ドクターコリトール!!!
 ・・・・・・首が・・・上がるよ・・・!!」
【スカイ】が、空を見上げていた。

「腕も上がるだろう?」

【ドクターコリトール】の言葉に従って、
ゆっくりと空に手を伸ばす【スカイ】。
背後から支える【ドクターコリトール】
まっすぐ伸びた腕。伸ばしすぎて、二人で背後に転がってしまう。

「・・・どうだい、見上げた青空は?」
「・・・最高だよ・・・!ありがとう、ドクターコリトール!!」

遠くで聞いていた【コンピューターマン】が声をかける
「よかったな。」
しかしその声は、僅かに硬い。
「コンピューターマン。
 君の腱鞘炎も、同じようにヒコウを突いて治そう!」

キーボードの叩きすぎだと言う【ドクターコリトール】の言葉に、【スカイ】が首を傾げる。

「休憩できないの?」
「僕が手を休めれば、この世界の時間は止まってしまう」
「でも、コンピューターマンのキーボード、コンセント無いよ」
下からじっと見つめる【スカイ】
【コンピューターマン】のキーボードは、何にも繋がっていなかった。

「それでも、打ち続けなければならないんだ」
固持する【コンピューターマン】
「仕事は誰だって辛い」
落ち込む【スカイ】
「ドクターコリトールもそうなの?」
「いいや、あいつらもきっと違うさ。
 おおーい、空想警備隊と報道局〜!」
マイマイマイマイ〜マイムヤッホッホーーーゥ♪

何故かご陽気に躍り出てくる4人。

【警備隊 男】「お前が名前をいっぺんに呼ぶからだ!」

仕事は辛いか、と尋ねる【スカイ】に、4人は一斉に答える。

「私たちが楽しくなさそうに見える?
 事実を伝えることに、誇りを感じる日々よ!」
「仕事を辞めて遊んでいては、ボケてしまいますわ」

「でももし、竜王に願いを叶えてもらったら、
 仕事なんて辞めるだろう?」

【コンピューターマン】の言葉に【警備隊 男】が尋ね返す。

「お前は、辞めたいのか?」
「・・・辞めたい、というか・・・自分の時間が欲しい」
【ドクター】
「なぁみんな。
 コンピューターマンが手を止めたら、この世界の時間は
 本当に止まると思うか?」

「当然」だと答える4人。だが【スカイ】が反論する。

「でも、コンピューターマンのキーボード、
 何ともつながってないんだよ!」

【コンピューターマン】に群がる4人。
キーボードとコンセントを取り囲んで確認する。

「・・・大丈夫なんじゃねぇノ?」「そう・・・だな」

やがて4人の結論はまとまった。

「コンピューターマン。一度試しに手を止めてみよう」
「お前は、僕の存在が必要ないかもしれないと言いたい訳だな」

【コンピューターマン】の提案に、
怒りを露にする【コンピューターマン】。

「自分には、【スカイ】や僕が患者として常に存在するから、
 目立たない仕事をしている僕より優越感を感じてるんだろ?」

「何言ってるんだ、【コンピューターマン】」

「僕がこの世界の時間を司っているんだ。
 何よりの支配者なんだ!僕の意思で、
 お前ら全員を止める事も動かす事もできるんだぞ!!」
そこへ【報道局】が乱入。

「シャーーーーーーラップ!!」
「シケた事言ってんじゃねぇぞ!」
「自分の時間が欲しいんだろ?しのごの言わずに」
「試してガッテン!!」

【コンピューターマン】の腕を両側から掴む【報道局】。
周囲の皆も、慌てながらも止めようとはしない。

必死で抵抗する【コンピューターマン】。

「やめろーーーーーーーー!!!」
キーボードから離れる手。
一瞬のストップモーションの後、どっと安堵する全員。

「ほ〜ら、みろ」
「支配者が聞いてビックリ〜」

時間は止まらなかった。

「これで、君は、仕事をしながら自由になれる。」

【ドクターコリトール】の言葉に、大きく息を吐き、崩れ落ちる
【コンピューターマン】。
空を仰ぎ、自由になった手を見つめて笑顔を浮かべる。

「ドクターコリトール、・・・さっきは酷い事を言ってしまった。
 すまない・・・」
「良いってコトよ!」

二人は固く握手を交わす。