ユーコ「ちゃんと聞けた!?」
問い詰める【ユーコ】に【スカイ】は【薫風】の話を聞かせる。

ユーコ「願い事を書けばいいのね!」
スカイ「違うよ、願い事じゃなくて、僕の伝えたい思い」
ユーコ「願い事と一緒よ!」

【ユーコ】だけでなく、【報道局 男女】【警備隊 男女】までが盛り上がる様子に、字が書けない【スカイ】は焦りだす。

スカイ「僕は字を書く練習をしないと・・・」

【ドクターコリトール】【コンピューターマン】が慰める。
ドクターコリトール
「大丈夫、すぐに書けるようになるさ」
コンピューターマン
「分からない字は、俺がキーボードで一押しすれば
 見ることはできる」
【報道局 男】もまた【スカイ】を慰めようと肩を叩く。
報道局男「まぁそう落ち込むなって!俺と一緒に勉強しようゼ!」
スカイ「え!?あなたも字が書けないの!?」
報道局 男
「実はな・・・なーんて、ウソだよ!書けるに決まってるだろ。
 字を覚えるように、教育番組を持ってきてやるゼ!」

喜ぶ【スカイ】だったが、そこへ【報道局 女】の声が響く。

報道局 女
「シャーーーーーーラップ!!・・・あんた、今日二回目のウソだ」

和やかだった空気が凍りついた。
「どうしてウソつくのォ?
我々、空想報道局局員は、正しい情報、事実を、事実を、事実だけを発信しなければならなィ!ウソは許されなィ!」
「こいつを励ましてやろうと思ったのサ」
「励ましにウソはいらない。必要ない。
 報道局員としても、愛の誓いとしてもウソをつかいないと誓った
 あんたがウソをつくことは、私に対しての裏切りだ!」

周囲が立ち尽くす中、【報道局 女】は尚も責め立てる。

「今日は私以外の女にも目移りしてた。
 今までなら有り得なかった!
 あんたは私の知ってるあんたじゃない!・・・ニセモノだ。」

「消えろ!!!」

懐からナイフを取り出し、【報道局 男】の喉元へ突きつける。

そして、現実世界では、【男】が苦しみ出す・・・。
警備隊 男「よせ、早まるな・・・は、話合おうじゃないか」
事を治めようとする【警備隊 男】。
揉み合う内にナイフを奪われ、【報道局 女】は【報道局 男】に馬乗りになって首を絞めようとする。
逃れようと必死に暴れる【報道局 男】を背後から抑えたのは、
【警備隊 女】だった。

報道局 女「あんた・・・」
警備隊 女「お手伝いしますわ」
驚愕する【警備隊 男】に、【警備隊 女】は
晴れやかな笑顔を向ける。

「たまには好きなことさせてくださいよ。
 心配しなくても、これからもちゃんとあなたに
 ついて行きますから。
 あなたが、私が尊敬すべき人であり続ける限りは」
苦鳴を漏らす【男】に、【女】が言う。
「だめ、これはあなたの中のきっと何かすごく嫌な事の表現。
 逃げないで、見続けて」


スカイ「ドクターコリトール、助けてあげて!」
ドクター「俺は怖い・・・」
スカイ「コンピューターマン、時間を止めて!」
CPマン「自分でこの手は止められない」

スカイ「死んじゃうよ!!」

空想世界と現実の叫びが重なる。

「やめて、やめて!やめてーーー!!」
「止めろーーーーーーーーーーーーーー!!」

電源が切れるように、空想世界が終わる。

荒い息をつく【男】に【女】が声を絞る。

「逃げないでっ・・・
 あなたが何を閉じ込めたのか、いつまでも判らないじゃない。
 いつまでも、あなたは、帰ってこれないじゃない・・・」
「・・・・・・」
「・・・この一週間で、何かあったの?」

【女】の問いに、【男】が僅かに顔を上げる。
しかし、言葉になることはなかった。

無言で立ち去ろうとする【男】に、
【女】は幾分落ち着きを取り戻した声で問いかける。

「来週も、また来るんだよ。
 ・・・君は、何の香りが好きだい?」

【男】はしばらく足を止め、やがて微かに呟く。
「・・・・・・草と、風の・・・・・・香り・・・」

【男】が去った部屋で、【女】は「空想世界」を書き留めたノートを紐解く。
「彼の空想世界があんなに乱れたのは初めて・・・。
 何か、彼の中に変化がある。なんだろう・・・」

その時、玄関のチャイムが鳴った。