---空想世界---

広がる大草原。
どこまでも続く青く澄んだ空。
風を感じて自然に触れる。
緩やかに流れる時間。
そこはまるで、子供心に夢見た世界。

しかばねの彼の中の世界「空想世界」には、
9人の住人がいる。

50肩の肩こり少年、【スカイ】。
 「ぼくは、紙飛行機を飛ばすんだ!」

蜃気楼へと導く幸運の風、【薫風】。

【男】の分身となる、【コンピューターマン】
 「仕事と時間に追われ、余裕の無くなった心は、
  乾いた砂漠のように空しい空白へと変わって行く」

おしゃべりだけど明るくて社交的な【ユーコ】

【空想警備隊】、男・女
 「平和と秩序を守るのが我々の役目!」

【空想報道局】、マン・ウーマン
 「我々は、正しい情報を、事実を、事実を、
  事実だけを伝えましょう!」

君のコリと病を治す、【ドクターコリトール】
全員「今日の天気は!?」

報道局男「どんより曇りィーーーーイ!」
報道局女「でも、昼からにわか雨があるかもYO!」
男女「夜露死苦!!」

にぎやかに、空想世界は始まる。
ユーコ
「ねぇねぇスカイ聞いた!?
 あの冬のソナタの続編が「春のソナタ」で、
 日本でロケされるって!
 ラストシーンは春の桜よ!」

スカイ
「どうでもいいよ、そんなこと・・・」

言っている間に、にわか雨。
去っていく【薫風】に【スカイ】が紙飛行機を飛ばす。

「待って、僕の紙飛行機を飛ばして!」

しかし紙飛行機は、あえなく墜落。
警備隊男女、登場。

警備隊男「ピーーーッピッピッピッピッピッ!」
警備隊女「3歩後ろから、ピーーーッピッピッピッピッピッ!」
警備隊男「はい、君!またしても、危険行為を行ったな!」
警備隊女
「3歩後ろから、
 その紙飛行機の先端が、人を突いたらどうするのです!」

叱られる【スカイ】。

警備隊男 「その紙飛行機が、空想世界の枠を超えて飛び出したら
 どうする気だ!?」
スカイ「どうなるの!?」
警備隊男「わからぬ!」
警備隊女
「3歩後ろから、
 枠からのはみ出し、飛び出しは、世間一般モラルに反する
 はみ出し規制行為のひとつとして罰せられます」
そこへ割り込む3人。

コンピューターマン
「科学的根拠のないものに、
 僕はあまり納得できないな」

報道局男
「ハイハイハイ!
 こいつの意見に俺も一票ナイスオン!」
報道局女
「この世界はどこまでだって
 線が引いてあるわけじゃないじゃーーーん!」

警備隊女
「3歩後ろから、
 あなた、あのようなイカレポンチな者たちを相手にしては
 いけませんわ」
報道局女
「アーーーーオゥ!聞いた!?今の!モーーー大ッ嫌い!」

そのまま喧嘩に突入する警備隊・報道局4人。

突然【コンピューターマン】の叫び。

「ドクターコリトール、助けてくれ!
 手が腱鞘炎で痺れてきた!」

【コンピューターマン】の手が止まれば、この世界の時間は止まってしまう。

治療を施す【ドクターコリトール】だったが、甲斐なく手が攣ってしまう。

コンピューターマン
「くお!ピキーン!シャットアウト・・・」
全員
「あーーー・・・」

全員その場で倒れ、寝てしまう。
空想世界が終り、現実が戻ってきた。