よろしく!ホストクラブ ステージ写真
幕開け しゃぼん玉を吹かすオーナー
新人ホスト 天川 星 を紹介。そこへ店長輝希の電話が鳴る。
ホストクラブ 「TOP★STAR」 へ通う常連たち。
左から、由美・西条・レイナ・アキナ
(瓶とグラスを受け取って、こけそうになったシロウ)
衛 「あぶないな。平らなところで何やってんだ?」
シロウ 「うるせぇな」
衛 「大丈夫か?」
シロウ 「……って言いながら、何、腰に手ぇ回してんだ!?」
衛 「かわいいから。……なんてね」
(ホストたち、しゃぼん玉を吹かしながら)
シロウ 「あーあ……もう長いことホンモノ吸ってないよなぁ……」
ケン 「これって、光さんが入った頃から変わってないんですよね?」
夜月 「オーナーがタバコ嫌いだからね。創業当時かららしいよ。身体に悪いし、
こんなもの吸う金があるんだったら、お客様への電話代にしろ、ってね」
光 「確かに、倍の金になって帰ってはくるな」
衛 「なんでもオーナーの考えは、東洋医学の精神から来てるらしいよ」
シロウ 「なんじゃそら」
衛 「とにかくすごいってこと……なんてね」
夜月の携帯からアラーム音。常連客・東条さくらへの電話の時間だが
留守電になっている。
夜月 「さくらさん、声聞けなくて残念です。また電話しますね」
光 「光です。夜月指名ばかりじゃ、俺ジェラシー」
衛 「衛です。あなたは罪な人だ……なんてね」
ケン&シロウ 「さくらさん、バンザイ!」
夜月 「では、失礼します (携帯に口付け)」
常連客・東条さくらを怒らせた星。
「自分の中のけったくそ悪さは増えるばかり……」
勤めていた会社をリストラされ、婚約者には結婚破棄を突き付けられる。
「開いた口が塞がらなかった。俺は、ひとりぼっちの新居で捨てられた犬のように泣いた。
もう、二度と恋なんてできない。
俺の人生は、急に白紙になった――」
星 「売上100万くらいは弁償する!」
オーナー 「舐めたこと言わないでちょうだい。うちはこの店だけでビジネスを
やってるんじゃないのよ。東条さくらとはサイドビジネスでもつながりがある。
今ここで彼女の機嫌をそこねたら、今日の売上100万くらいじゃすまないのよ?」
店長 「なくした信用の落とし前はしっかりつけてもらおうか。でないと、
裏路地にボロ雑巾のように転がることになるぞ……」
星 「ええ!?」
信用回復のため、東条さくらのバースデイパーティーを企画したホストたち
全ホストによる「Birthday Song」のあと、ダンスに突入!
ダンスはクライマックスを迎え、曲が変わる。
星に抱きしめられて 「タイタニック」 を熱唱するさくら。
夜月 「よかったね、星。これから賠償分、働くのやっていけそう?」
星 「はい。なんとなくわかったような気がする、この仕事。
あの笑顔、たまらない」
夜月 「女性の笑顔に年齢は関係ない。あの笑顔が、俺たちのサービスの評価だ」
光 「さあ、開店時間だ。頑張ろう」
店内。星に一目惚れした山田愛子が、初来店。
愛子 「私、先週この近くであなたを見かけて、すっごいかっこいい! って思ってたら
この店に入っていくのをみたから……すみません、追っかけみたいでやばいですね」
星 「ううん、その行動力が今この出会いに繋がったわけだから感謝しないと」
ホステスの常連客 アキナの友人・洋子登場。
入店と同時に、ナンバー2ホスト・光を見て沈黙が流れる。
洋子 「ひ……光?」
光 「よ、洋子……」
洋子 「あんた、何やってんの、こんなとこで!」
アキナ 「え?なに? 知り合い?」
洋子 「知り合いもなにも……うちのナルシスト旦那よ!」
全員 「ええっ !!?」
洋子 「ずっとバーテンやってると思ってたのに、ダマしたのね!?」
全員 「バーテン!?」
光 「いや、昔はしてた! ソムリエの資格があるのも本当だ!」
全員 「ソムリエ!?」
光 「それよりお前、バイク便の仕事どうしたんだよ!」
全員 「バイク便……(納得)」
愛子 「あ、あの……あんな風に彼女にバレちゃう人って、結構いるんですか?」
星 「どうだろう? でもあの人(光)のあんなに狼狽したとこ、初めて見た」
愛子 「へえ。……星さんも、バレたら困るような人が、いるんですか?」
星 「これから愛子ちゃんにバレないようにしないとね」
愛子 「そんなんじゃなくって――!」
星 「彼女、ってこと? ――本気でいないよ」
携帯の着信音
シロウ 「お、ユリアちゃんからメールだ」
袖から衛登場。辺りを見回す。
衛 「めずらしく、ケンが一緒じゃない……」
衛 「俺、シロウのことが好きみたい……なんて、ね」
シロウ 「おまえなー! そのジョークなんとかならないわけ? どうせ俺の反応が
面白くって、つい、だろ?」
衛 「まさか。シロウはジョークで言える?」
シロウ 「え、いや……だってホストだし、日にいっぺんは言うだろ……?」
衛 「男に向かって、好きだって?」
シロウ 「いや……おとこ……は、ないな……」
衛 「ジョークじゃ言えない」
シロウ 「あ……そ、そうですか……」
衛 「シロウ――好きだ」
衛の告白を見ていたケン
ケン 「お前のストレートな感情表現とか、ダイレクトな潔さには感心するけど……
シロウにヘンな真似してみろ。ただじゃおかないからな。それだけだ」
衛 「……まいったな。今のじゃまるで、友達を変態の魔の手から守る、
正義の味方、だな……」
愛子に電話をかける星。しかし、電話の向こうの愛子は、制服を着ている。
星 「声聞いてると、逢いたくなるな……」
愛子 「あ、今日行くつもりです」
星 「でも週に2日は必ず来てくれてる。無理しないでいいよ」
愛子 「大丈夫です。じゃあ、今からバイトあるんで」
星 「また!?」
愛子 「あ、はい! あの、掛け持ちしてるんで!」
ケン 「お前好きな奴いる?」
星 「え?」
ケン 「今ホストだけど、本気で好きな奴ができたら、どうする?」
――今ホストだけど、本気で好きな奴ができたら、どうする?
俺は、あの人の期待に応えられる男になりたい。
仕事でも、プライベートでも。
だから仕事は辞めない。逆に、他の女性と違ってどれだけ大切にしてるかの差を、
見せたいくらい。
――今ホストだけど、本気で好きな奴ができたら、どうする?
できたら、っていうか……まあ、結婚してるから……こういうワケだ。
隠し通すつもりだった。向こうにとっては俺のような男前がホストだなんて、
穏やかじゃいられないのは当然だからね。
……本気で好きな相手には、キザなセリフも言えない。
そういうもんなの。
――今ホストだけど、本気で好きな奴ができたら、どうする?
相手が嫌がらなければ、仕事は続けるね。
前に夜月さんが言ってたけど、
「本気で惚れた女性を口説くそれとはぎりぎりの線だけど別のもの」
だって、俺も同感。
ま、今回の俺のは、それに当てはまるかどうか判らないけど……なんてね。
ホステスゆかの相手をしている光。そこへ洋子登場。
気付かずにゆかの接客を続ける光。
光 「これで君は今晩、俺の夢を見る……アデュー」
洋子 「なぁにが、アデューよ!」